食品添加物の表示を見てみましょう。
食品の表示方法は、法令で細かくルールが決められています。
食品添加物を使用した食品では、原則として食品添加物の物質名を表示することになっていますが、さまざまな種類や役割によって表示方法が変わります。
食品添加物を使用した食品では、原則として食品添加物の物質名を表示することになっていますが、さまざまな種類や役割によって表示方法が変わります。
食品添加物の表示
1
原則は物質名による表示です
- 物質名のほか、分かりやすい名称として簡略名等の使用も認められています。
物質名 | 簡略名等 |
---|---|
L-アスコルビン酸 | ビタミンC、V.C、アスコルビン酸 |
ソルビン酸カリウム | ソルビン酸K |
ウコン色素 | クルクミン、ターメリック色素、ウコン |
- 物質名、簡略名等ともに法令で定められており、勝手に変えて表示することはできません。
2
用途名を併記しなければならない場合があります
- 特定用途で使用した場合には、物質名に加えて用途名の併記が義務付けられています。
- 用途名の併記を要する用途は以下のものです。
- 甘味料、着色料、保存料、増粘剤・安定剤・ゲル化剤又は糊料、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防かび剤又は防ばい剤
主にこれらの用途で用いられる食品添加物は法令で例示されています。
ただし、例示に含まれていなくても、該当する用途で使用した場合には用途名の併記が必要です。
ただし、例示に含まれていなくても、該当する用途で使用した場合には用途名の併記が必要です。
3
一括名による表示が認められる場合があります
- 複数の食品添加物を組み合わせて効果を得るのが通常の場合は、その効果を表す名称で表示する方が合理的と考えられています。
例)
・香料は複数の食品添加物を微量ずつ組み合わせることにより、食品に豊かな香味をつけます。
・調味料やpH調整剤として用いられるアミノ酸や有機酸も複数のものを組み合わせて使用されます。
・香料は複数の食品添加物を微量ずつ組み合わせることにより、食品に豊かな香味をつけます。
・調味料やpH調整剤として用いられるアミノ酸や有機酸も複数のものを組み合わせて使用されます。
- 一括名としては次のものが認められています。
- イーストフード、ガムベース、かんすい、苦味料、酵素、光沢剤、香料(又は合成香料)、酸味料、軟化剤(チューインガム軟化剤)、調味料(アミノ酸等)等(その構成成分に応じてアミノ酸、核酸、有機酸、無機塩といった種類別を表示)、豆腐用凝固剤(又は凝固剤)、乳化剤、水素イオン濃度調整剤(又はpH調整剤)、膨張剤(膨脹剤、ベーキングパウダー又はふくらし粉)
一括名で表示できる食品添加物は法令で定められています。
それ以外の食品添加物を一括名に含めることはできません。
それ以外の食品添加物を一括名に含めることはできません。
- 以上をふまえて、例えば次のように表示されています。
-
名称 菓子パン 原材料名 フラワーペースト、小麦粉、砂糖、マーガリン、パン酵母、食塩、脱脂粉乳/乳化剤、保存料(ソルビン酸)、V.C - V.Cは簡略名であり、L-アスコルビン酸(ビタミンC)を表しています。パン生地の性質を調整するのに使われます。
- 保存料(ソルビン酸)は、用途名と物質名との併記です。
- 乳化剤は一括名で表示されています。油分と水分とをなじみやすくするなどの効果があります。
4
表示が免除される場合があります
次の場合には、食品への表示が免除されます。(ただし、アレルギー物質に関する特定原材料等に由来する食品添加物は除く)
加工助剤
食品の加工の際に添加されたが、
(1) 最終食品として包装する前に食品から除去されるもの
(2) 食品中に通常存在する成分に変えられ、食品中に天然に存在するその成分の量を有意に増加させないもの
(3) 最終食品中にごくわずかなレベルでしか存在せず、その食品になんら影響を及ぼさないもの
のいずれかに該当する場合
(1) 最終食品として包装する前に食品から除去されるもの
(2) 食品中に通常存在する成分に変えられ、食品中に天然に存在するその成分の量を有意に増加させないもの
(3) 最終食品中にごくわずかなレベルでしか存在せず、その食品になんら影響を及ぼさないもの
のいずれかに該当する場合
つまり、加工に用いられるが、最終食品に残存していないか、ごくわずかしか残らず、その食品に何ら影響を及ぼさないものは表示が免除されます。
例) 活性炭を砂糖製造時の脱色剤として使用した場合、ろ過除去されるため、砂糖には表示が不要。
キャリーオーバー
(1) 原材料(食品添加物を含む)に対して食品添加物の使用が認められている
(2) その量が許可されている最大量を超えていない
(3) 食品が原材料から持ち越される量より多量の当該食品添加物を含まない
(4) 持ち越された食品添加物の量が食品中で効果を発揮するのに必要な量より有意に少ない
という全ての条件に該当する場合
(2) その量が許可されている最大量を超えていない
(3) 食品が原材料から持ち越される量より多量の当該食品添加物を含まない
(4) 持ち越された食品添加物の量が食品中で効果を発揮するのに必要な量より有意に少ない
という全ての条件に該当する場合
つまり、食品の原材料に使用され、その食品には使用されないもので、最終食品中には効果を発揮することができる量より少量しか含まれていないものは表示が免除されます。
ただし、着色料、調味料、香料など五感に感じる食品添加物は、原則としてキャリーオーバーを認められません。
ただし、着色料、調味料、香料など五感に感じる食品添加物は、原則としてキャリーオーバーを認められません。
例) 保存料の安息香酸を含む醤油でせんべいの味付けをした場合、この安息香酸は含有量が少なく、せんべいにおいては効果を発揮しないので、表示が不要。
栄養強化目的の場合
ビタミン、ミネラル、アミノ酸などの栄養強化剤は、食品添加物としての表示が免除されます。
栄養強化剤として認められる食品添加物は法令により示されています。
栄養強化剤として認められる食品添加物は法令により示されています。
その他
表示可能面積が30cm2以下の表示困難な小包装食品や店頭でのばら売りされる食品は、表示免除となっています。
- 参考資料
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- 改訂新版よくわかる暮らしのなかの食品添加物(谷村顕雄監修、日本食品添加物協会編)
- 新食品添加物表示の実務(食品添加物表示問題連絡会 日本食品添加物協会 共編)